[PR]100万円が無料で当たる!:今すぐ応募して現金を当てよう!
『和製漢字の小辞典』11画〜16画
和製漢字の小辞典へ戻る
- 【鮎−占+入】 『易林本小山板節用集』に「エリ 取魚具」、『異體字辨』・『和字正俗通』に「エリ」、『同文通考』に「ヱソ 魚の名」、『正楷録』(倭楷)に「遠速」、『國字考』に「エソ 魚名」(典拠は『同文通考』)とある。漁具「エリ」の意が本来の意で、書写誤りで、「エソ」となり、魚名にも使われるようになったものか。『中華字海』には「音義待考。字出《
ISO-IEC DIS 10646通用編碼字符集》」とある。
- 【鮎−占+(利−禾)】 『新撰字鏡小学篇』・『新撰字鏡享和本』・『新撰字鏡群書本』・『世尊寺本字鏡』に「左介」とある。『中華字海』が『集韻』を典拠に「音計。解剖」とする。『天文本字鏡鈔』・『永正本字鏡抄』・『字鏡集
(龍谷大学本)』・『字鏡集(大阪府立中之島図書館蔵本)』に「ケツ サク」、『字鏡集寛元本』・『字鏡集(野口恆重編校合)』に「ケツ サク 左介」とある。「鮭」の意の国訓か。『難訓辭典』に『字鏡集』を典拠に「サゴ 魚の名。」とある。『大漢和辭典』も『字鏡集』を引き「国訓 さご。魚の一」とするが、確認できた『字鏡鈔』・『字鏡抄』・『字鏡集』の版本のいずれにも「サゴ」の記述はない。版本をご存じの方は、ご教示いただきたい。
- 【鮎−占+片】 『新撰字鏡群書本』に、「鯰 奈万豆 [鮎−占+片] 上同」、『新修漢和大字典』に「なまづ」とある。[鮎−占+斥]・[鮎−占+行]参照。
- 【鮃】 『新撰字鏡小学篇』に「布奈」、『世尊寺本字鏡』に「フナ」、『字鏡集寛元本』に「音平 魚名 フナ」とある。中国では「平目」の意であるから、国訓か。
- 【鮖】 『温故知新書』に「イシモチ」、『明応五年版節用集』・『永禄二年本節用集』・『米沢文庫本倭玉篇』などに「イシフシ」、『弘治二年本節用集』・『堯空本節用集』・『増刊下学集』・『早大本節用集』・『新刊節用集大全』に「イシブシ」、『文字ノいろいろ』(國字)に「かじか。杜父魚。」とある。
- 【鮗】 『新撰字鏡小学篇』に「巳乃志呂」、『易林本小山板節用集』に「コノシロ」、『同文通考』に「コノシロ [鮎−占+制]魚也」、『正楷録』(倭楷)に「可那矢路」、『和字正俗通』に「コノシロ」、『サカナの雑学』に「コノシロ ヒイラギ」とある。韓国の漢字規格にもあるが、『漢韓最新理想玉篇』は日本字とする。
- 【鮎−占+尓】 『明応五年版節用集』・『弘治二年本節用集』・『堯空本節用集』・『両足院本節用集』に「イサナコ」、『同文通考』に「イサヾ」とある。『新刊節用集大全』には「いさなご」とあるが、字形は行書で[鮎−占+尓]、楷書で[鮎−占+爾]である。『龍龕手鑑』にあり、国字ではないと考えられるが、注文中にあるのみで、音義ともに未詳である。次項参照。
- 【鮎−占+斥】 『日本魚名集覧』が『水産名彙』を引いて「ナマズ」とする。[鮎−占+片]・[鮎−占+行]参照。
- 【鮴】 苗字に鮴(ごり)・鮴谷(ごりたに ごりだに ごりや)がある。鮴崎(めばるざき)は広島県豊田郡東野町の地名。『易林本小山板節用集』・『書言字考節用集』・『和字正俗通』などに「ゴリ」とある。
- 【鮟】 『漢語大字典』が『集韻』を典拠に「魚名」とする。『字源』が国字とするのは誤りであるが、『中華字海』は日本から輸入された「鮟鱇」の用法でしか載せない。現行の用法に重点を置けば、限りなく国字に近いとはいえる。『大谷大学本節用集』に「クサル」とあるのは何に基づいたものであろうか。「鱇」・「鯱」を参照。
- 【鮎−占+伏】 『字鏡鈔』・『字鏡抄』・『字鏡集白河本』・『字鏡集寛元本』に「カマツカ」、『篇目次第』に「カマツカ 无」、『運歩色葉集』・『元和三年板下学集』・『早大本節用集』・『天正十七年本節用集』・『弘治二年本節用集』・『永禄二年本節用集』・『堯空本節用集』・『書言字考節用集』・『和字正俗通』などに「コチ」、『同文通考』に「コチ 一ニマテ」とある(『同文通考』の注文の内「一ニ」は「ひとつに」と読む。)。『新刊節用集大全』に、「[鮎−占+伏]王 こち」とあるのは、珍しい表記である。
- 【鮎−占+成】 『易林本小山板節用集』に「ウグイ」、『書言字考節用集』に「ウグ井」、『同文通考』に「ウグイ [鮎−占+必]魚也」、『正楷録』(倭楷)に「胡古以」、『和字正俗通』に「イクヒ」とある。『旺文社漢和中辞典』に「もと[鮎−占+〔歳−小+{歩(旧字体)−止}〕]ケイの俗字」とあるが、『米沢文庫本倭玉篇』に「[鮎−占+(止*成)]ウクヒ」とあることを考えれば、頷けなくないことである。ということになれば、国字ではなく、[鮎−占+〔歳−小+{歩(旧字体)−止}〕]の和製異体字ということになる。
- 【鮎−占+行】 『新撰字鏡小学篇』・『新撰字鏡享和本』に「鯰 奈万豆 [鮎−占+行] 上同」とある。『新撰字鏡小学篇』は、[鮎−占+行]の字形がやや崩れており、『新撰字鏡享和本』は、「鯰」の注文中に含まれている。『新撰字鏡群書本』には、[鮎−占+行]の字はなく、「鯰 奈万豆 [鮎−占+片] 上同」とある。『名義抄(観智院本)』に「鯰(注文略) [鮎−占+行] 或用也 未詳」、『世尊寺本字鏡』に「ナマツ」、『字鏡集白河本』に「カウ 未詳」、『字鏡集寛元本』に「未詳 ナマツ」とある。『字鏡鈔』・『字鏡抄』にもあるが、「未詳」とのみある。[鮎−占+片]・[鮎−占+斥]参照。
- 【鮎−占+老】 『世尊寺本字鏡』・『拾篇目集』に「ヒシ」、『元和三年板下学集』に「[鮎−占+老]鱗 ウルカ」、『正楷録』(倭楷)に「伏落」、『書言字考節用集』に「ウルメ 未詳」、『同文通考』に「ボラ 鯔魚大ナル者」、『和字正俗通』に「ボラ ウルメ」とある。『倭字攷』は『和爾雅』・『続和漢三才名数』を典拠に「ボラ」とする。『和爾雅』には、「倭俗ノ制字」として「ボラ 鯔ノ字佳シ」とある。『日本魚名集覧』が『日本動物圖鑑』を引いて「トド」、『水産寶典』(大日本水産會編)・『水産名彙』・『水産俗字解』を引いて「ボラ」、『水産名彙』・『水産俗字解』を引いて「[鮎−占+巴][鮎−占+老]魚 アジ」とする。『角川古語大辭典』に「うるか【[鮎−占+條][鮎−占+(豚−月)]・潤香】鮎(あゆ)の腸。またはその塩辛(しほから)」とあり、『下学集』から「[鮎−占+老]鱗 ウルカ」と引く。他の表記法等、同書に詳しい。『大漢和辭典』には「ぼら おほぼら 鯔(イナ)の十分に成長したもの」とあるが典拠がない。
- 【鯏】 『同文通考』・『國字考』・『倭字攷』に「アサリ」、『正楷録』(倭楷)に「阿索里」、『和字正俗通』に「イクヒ」とある。「アサリ」の意に関していえば、漢字本来の字形は、「蜊」であり、この字の和製異体字というべきで、国字とすべきではない。「イクヒ」とは、ウグイのことか。こちらの意味が先にできていれば、国字といえるかもしれないが、より詳しい調査が必要となる。
- 【鯑】 『易林本小山板節用集』に「[鮎−占+東]鯑 カドノコ」、『同文通考』に「鯑 カズノコ [鮎−占+東]鯑 カツノコ」、『正楷録』(倭楷)に「革事那可」とある。『日本魚名集覧』は『水産名彙』を引いて「ウルカ」とする。『新修漢和大字典』に「にしん」とあるのは何を典拠にしたものであろうか。『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』に「ハユ」とあるのは、「鮠(ハエ)」と音による通字か。『大漢語林』の解字に「会意。魚+晞省。晞は、かわかすの意味。鰊(にしん)のはらごを乾燥した食品、かずのこの意味を表す」とある。この説が正しいとすれば、「魚+希」は、字源俗解ということになるが、「魚+晞省」であるというのは、いかなる根拠に基づくのであろうか。
- 【鯒】 やや崩れた字形で『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』・『易林本小山板節用集』・『新刊節用集大全』・『合類節用集』・『書言字考節用集』・『和字正俗通』に「コチ」、『同文通考』に「コチ 魚の名」とある。『大漢語林』の解字に、「会意。魚+甬。甬(よう)の字の形に似た魚、コチの意味を表す。」とある。『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』・『合類節用集』・『同文通考』の字形は、[鯒−マ+ク]、『新刊節用集大全』・『書言字考節用集』・『和字正俗通』は、[鯒−マ+コ]であり、江戸期以前には、調査した範囲からは正確に同じ字形が見られず、明治以降に漢和辞典で整理され登録された字形とも考えられる「鯒」に基づき解字することが必ずしも正しいとは限らない。「鯒」の形と、甬の形からすると、あながち誤りともいえないが、よりふさわしい形の魚にこの文字が当てられなかった理由が不明で、より具体的な解明が必要であると考えられる。同じ大修館の漢和辞典でも『漢語林』・『大修館現代漢和辞典』の解字には、「会意。魚+甬。」とのみあり、うえの解説はなく、『大漢和辭典』・『広漢和辞典』・『大修館新漢和辞典』には解字自体ない。他社の主なものを見てみると、『字通』・『新明解漢和辞典』・『新字源』・『福武漢和辞典』には、親字として立項されてなく、『岩波新漢語辞典』・『新選漢和辞典』には解字がなく、『現代漢語例解辞典』は字解として国字とのみある。詳細は省略するが、『大漢語林』のように「甬」の字と魚の形を関連づけたものとして、『大字源』・『角川漢和中辞典』・『学研漢和大字典』・『漢字源』がある。『旺文社漢和中辞典』・『旺文社漢和辞典』・『旺文社漢字典』には「会意。魚と甬(痛いの省略形)とで、痛いとげのある魚の意。」とかわった解字をつけている。いずれにしても、[鯒−マ+ク]・[鮎−占+角]の字形を考慮に入れているものはなく、疑問である。[鯒−マ+ク]・[鮎−占+角]参照。
- 【鯒−マ+ク】 『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』に「コチ」・『合類節用集』に「コチ 字未詳」、『同文通考』に「コチ 魚ノ名」とある。この字の旁は、「角」の書写体で、字典体にすると、[鮎−占+角]となる。「鯒」・[鮎−占+角]参照。
- 【鮎−占+角】 旁が書写体になった形で、『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』に「コチ」・『合類節用集』に「コチ 字未詳」、『同文通考』に「コチ 魚ノ名」とある。「鯒」・[鯒−マ+ク]参照。
- 【鮎−占+走】 『新撰字鏡小学篇』に「豆久良」、『世尊寺本字鏡』に「[鮎−占+赱] ツクラ 豆良 [鮎−占+走]作歟」、『黒川本色葉字類抄』・『字鏡鈔』・『字鏡抄』・『字鏡集白河本』・『拾篇目集』に「ツクラ」、『篇目次第』に「ツクラ 无」、『元和三年板下学集』に「スバシリ」、『同文通考』に「スバシリ 鯔魚ノ小ナル者」・『和字正俗通』(妄制)に「スハシリ」とある。『字鏡集寛元本』に「ツクラ [鮎−占+赱] 豆良 [鮎−占+走]作歟」とあるのは、『世尊寺本字鏡』の影響が考えられるが、親字が『世尊寺本字鏡』の[鮎−占+赱]から[鮎−占+走]になっているのにかかわらず、注文に「[鮎−占+走]作歟」をつけているのは誤りであろう。
- 【鮎−占+花】 『世尊寺本字鏡』に「直灰臣灰二反 ハエ」、『頓要集』に「ハエ」とある。「ハエ」には通常[鮎−占+危]の字があてられる。『名義抄(観智院本)』にある字も崩れてこの字に近づきつつある。『世尊寺本字鏡』の字形は、ほとんど[鮎−占+花]の形になっている。[鮎−占+危]から[鮎−占+花]ができ、別字と認識されて、「ほっけ」の意に用いられるようになったものであろうか。『日本魚名集覧』が『水産名彙』を引いて「ホッケ」『実験活用水産宝典』を引いて「アイナメ」、『新撰北海道史』を引いて「カスベ」とする。
- 【鯲】 『増刊下学集』・『易林本小山板節用集』・『和字正俗通』などに「ドヂヤウ」、『明応五年版節用集』に「トテウ」、『天正十七年本節用集』に「ドジヤウ」、『新刊節用集大全』に「どぢやう」、『同文通考』に「ドヂヤウ 泥鰌魚」とある。『日本魚名集覧』は『水産名彙』・『水産俗字解』などを引いて「ドジョオ」とする。『篇目次第』に「以周切 ユ反 ハエ」と注文に反切があるが、『中華字海』には「音義待考。字出《
ISO-IEC DIS 10646通用編碼字符集》」とある。
- 【鯰】 『新撰字鏡小学篇』に「奈万豆」、『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』に「ナマツ 似[鮎−占+追]而頭大也」、『黒川本色葉字類抄』に「ナマツ 似[鮎−占+追]大頭者也」、『元和三年板下学集』に「鮎 ナマツ 鯰 二字ノ義同ジ」また「鮎 アユ」、『増刊下学集』・『法華三大部難字記』に「ナマツ」、『拾篇目集』に「子ム反 ナマツ」、『米沢文庫本倭玉篇』・『玉篇要略集』に「子ン ナマツ」、『弘治二年本節用集』・『天正十七年本節用集』に「アユ」とある。『中華大字典』は日本字として「似鮎」、『漢語大字典』は『清稗類鈔』を典拠に「同鮎」とする。これからすると国字が中国に輸出されたとも見えなくもないが、『倭名類聚抄(元和古活字那波道圓本)』が漢籍『食經』を引用することも無視できない。『弘治二年本節用集』に「鮎 アユ(中略)鯰 同」とあるのは、本末転倒な注文である。
- 【鯱】 漢和辞典は「シャチ」の意の国字としているが、古字書はそうではない。『米沢文庫本倭玉篇』に「ヒラメ」、『温故知新書』に「鮟鯱 アンコウノ」とある。『歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典』に「金鯱噂高浪(こがねのしゃちほこ
うわさのたかなみ)明治35年1月初演」とある。「シャチ」は新しい読みか。
- 【鮎−占+底】 『日本魚名集覧』が『岩波動物學辭典』を引いて「スケトオダラ」とする。
- 【鮎−占+長】 『新撰字鏡小学篇』に「波无」、『名義抄(観智院本)』・『世尊寺本字鏡』・『有坂本和名集』に「ハム」、『字鏡集白河本』に「チヤウ ハム」、『篇目次第』に「ハム 无」、『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』に「カマツカ カマス」、『書言字考節用集』に「カマス 未詳」・『和字正俗通』に「カマス」とある。
- 【鮎−占+岩】 苗字に[鮎−占+岩]留(いわなどめ)がある。長野県安曇郡安曇村に字[鮎−占+岩]留(いわなどめ)がある。
- 【鮎−占+若】 『大字典』に「國字 ハエ ハヤ」とあり、『国字の字典』が「鮠(はえ)」の意の国字とする。『新大字典』に「国字 ハヤ ハエ」、『大漢語林』に「国字 わかさぎ。(中略)はや。はえ。(下略)」など国字とされることが多く、『漢韓最新理想玉篇』も「日本字 白魚」とする。『漢語大字典』が宋の『夢梁録』を典拠に「魚名、比目魚類、也作[笠−立+弱]」とする。国字ではなく、国訓と考えられる。『世尊寺本字鏡』・『字鏡集寛元本』に「ヒヲ ハエ」、『字鏡鈔』・『字鏡抄』に「ヒヲ」、『字鏡集白河本』に「シヤク ヒヲ」、『拾篇目集』に「ヒヲ イワシ ハエ」、『元和三年板下学集』に「[鮎−占+異] ハエ [鮎−占+若] 上ニ同シ」、『同文通考』に「[鮎−占+異] ハエ [鮎−占+若] 並同」とある。『大漢語林』は解字で「音符の若がわかさぎの「わか」の読みを表す、日本的形声文字。」とするが、古字書の注文からすると、「わかさぎ」は、新しい訓であろうから、この解釈は成り立たないと考えられる。新しい解釈を示すときには、典拠を明確にすべきであるが、「わかさぎ。はや。はえ。」ともに典拠をつけていない。『有坂本和名集』に「魚偏」が無く、かつやや崩れた字形で、「若 ハヤ」、『篇目次第』に「[話−舌+若] ヒヲ 无」とあるのは、書写時の誤りか。[鮎−占+異]・[鮎−占+輩]・[鮎−占+(輩−非+北)][鮎−占+(輩−非+比)]参照。漢和辞典は魚部9画とするが、古字書の多くは8画である。補助漢字にあり、『
JIS X 0221:1995(ISO-IEC 10646-1:1993)』にもある。区点位置からすると9画であるが示されている字形は、3画の草冠で8画である(『大字典』も魚部9画としながら字形は8画である。)。当辞典では、漢字の正字意識に引かれた字形ではなく、歴史的に典拠のある字形による画数を採用し、魚部8画とした(部首で準拠した『大漢語林』の魚部9画を採用しなかった)。
- 【鰄】 『元和三年板下学集』に「カイラギ 刀ノ鞘ニ之ヲ用ユ日本ノ俗作所也又梅花皮ト云ウ也」、『和字正俗通』(誤義訓)に「ウク井」とある。
- 【鰛】 『漢語大字典』に「沙丁魚。魚綱鯡科。体扁側。小型魚類。是世界重要経済魚類(下略)」とあって鰯のことと考えられるが、同書が引く明代の『[門#虫]中海錯疏』には「鰛,似馬鮫而小,有鱗,大者僅三四寸」とあり、本来は鰯よりもなお小さい魚を指したものであろう。「鰮」参照。
- 【鰒】 『弘治二年本節用集』に「フグ 或作[鮎−占+(幅−巾)]」、『永禄二年本節用集』に「フク [鮎−占+富]イ」、やや崩れた字形で『字鏡鈔』に「フク アハヒ フクヘ」、『運歩色葉集』に「[鮎−占+(幅−巾)] フク 鰒 同」、『増刊下学集』に「フク」、『同文通考』(國訓)に「フクトウ フグ 河豚(フグ)也 鰒(ハク)ハ音薄石決明也」とある。『漢語大字典』が『説文解字』などを典拠に「石決明。又名鮑魚」、『本草綱目・鱗部・鮫魚』を典拠に「古代対沙魚的別称」とする。漢字本来の意味は、「鮑(あわび)」であり、「河豚(ふぐ)」の意に使うのは、『同文通考』にあるとおり、国訓である。『音訓國字格』を典拠に『倭字攷』に「[鮎−占+夏] フグ」とあり、『国字の字典』が「河豚(ふぐ)」の意の国字とする。「鰒」の異体字の一つにすぎず、国字ではない。[鮎−占+夏]参照。
- 【鮎−占+神】 海魚の一種「ハタハタ」の意の国字。苗字に[鮎−占+神](いなだ)がある。『大字典』に「鰰 國字 ハタハタ(名) [鮎−占+雷] 、雷魚、イナ。」とあるが、『国字の字典』が『大字典』を引き「燭魚(はたはた)」の意の国字とするが、字形と引用を誤り、「[鮎−占+神] ハタハタ(名)、雷魚、イナ。」とする。
- 【鮎−占+毘】 魚名「ぎぎ」の意の国字。『明応五年版節用集』に「ギギ」、『易林本小山板節用集』に「ギギフ」、『同文通考』・『和字正俗通』に「ギヾ」とある。『拾篇目集』には「コン反 イヲノコ ハエ」とあり、[鮎−占+皆]や[鮎−占+異]などとの混乱が見られる。
- 【鮎−占+宣】 『新撰字鏡小学篇』に「波良加」、『倭名類聚抄(元和古活字那波道圓本)』に「[鮎−占+宣]魚 辨色立成云[鮎−占+宣]魚 波良可音宣今案所出未詳本朝式用腹赤二字」、『名義抄(観智院本)』に「音宣 未詳 ハラカ」、『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』・『伊呂波字類抄(大東急記念文庫本)』(一巻)・『合類節用集』に「[鮎−占+宣]魚 ハラカ」、『字鏡鈔』・『字鏡抄』・『字鏡集白河本』・『字鏡集寛元本』に「セン ハラカ エヒ」、『有坂本和名集』・『早大本節用集』・『大谷大学本節用集』・『天正十七年本節用集』・『法華三大部難字記』・『和字正俗通』に「ハラカ」、『撮壤集』に「ハラアカ」、『篇目次第』に「セン反 ハラカ 无」、『拾篇目集』に「セン反 ハラカ」、『玉篇要略集』に「ハラカ セン」、『元和三年板下学集』・『弘治二年本節用集』に「ハラカ 腹赤魚也」、『永禄二年本節用集』・『堯空本節用集』・『両足院本節用集』に「ハラカ 腹赤魚也(略)云櫻魚也(下略)」、『同文通考』に「ハラカ魚ノ名本朝式腹赤二字ヲ用」とある。
- 【鮎−占+室】 『大漢和辭典』に「國字 むろあぢ」とあるが、典拠はない。『中華字海』に「日本地名用字。〔[鮎−占+室]碆〕在高知県」、『中華大字典』は「日本字。魚名。似鰺」とある。
- 【鮎−占+追】 『新撰字鏡享和本』に「[鮎−占+台][鮎−占+追]同勅文○○○反壽也老也佐女」、『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』に「イシフシ 音夷 伏石間也」また「[鮎−占+追]魚 フクヘ イフク」、『伊呂波字類抄(大東急記念文庫本)』(一巻)に「イシフシ 性伏汎在石間物也」、『有坂本和名集』に「イシフシ」、『字鏡鈔』・『字鏡抄』に「イ イシフシ」、『篇目次第』に「イシフシ 无」、『拾篇目集』に「イシフシ チヽカフリ」、『玉篇要略集』に「イシフシ ツイ」、『元和三年板下学集』に「イシフチ」、『堯空本節用集』に「チヽカフリ ハリ」、『両足院本節用集』に「チヽカフリ」、『和字正俗通』に「フクラキ イシフシ」とある。『有坂本和名集』は、4画のしんにょうである。『字鏡集寛元本』には、「イシフシ チヽカフリ クラシ フクヘ」の読み、音注「イ」のほかに、「与之反」と反切もある。
- 【鮎−占+荒】 『運歩色葉集』・『天正十七年本節用集』・『弘治二年本節用集』・『永禄二年本節用集』・『堯空本節用集』にやや崩れた字形で「アラ」とある。
- 【鰯】 「いわし」の意の国字であるが、中国や韓国でも日本と同じ意味で使われる。両国の規格にあるが、『中華大字典』・『漢韓最新理想玉篇』は日本字とする。『名義抄(観智院本)』に「イハシ 未詳」、『撮壤集』・『元和三年板下学集』・『増刊下学集』に「イワシ」、『温故知新書』・『異體字辨』・『和字正俗通』に「イハシ」、『弘治二年本節用集』に「イワシ」また「[鮎−占+時]イワシ」、『永禄二年本節用集』に「イワシ[鮎−占+時]同(下略)」、『堯空本節用集』・『両足院本節用集』に「イワシ[鮎−占+時](下略)」、『同文通考』に「イハシ 鰛也」とある。『拾篇目集』には「イワシ」の訓のほか「ヒヤウ反」とある。中国の佚書の影響でもあるのだろうか。
- 【鰮】 『中華大字典』に「音未詳 魚名〔[門#虫]書〕鰮似馬鮫而小〔按日本動物學云鰮一名鰯屬(下略)〕」また「鰯 日本字 鰮魚一名鰯」とある。小魚の名であることのみ伝わっていた漢字を日本の用法により、日本字「鰯」の意に中国でも使うようになったということか。「鰛」参照。
- 【鰡】 『廣韻』に「力求切」とあり、国字ではない。大漢語林は「鯔を日本で鰡に書き誤り、のち中国でも認められた」とするが、『廣韻』や『廣韻』が典拠とした字書などが編纂される前にその様なことがあったのだろうか。『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』に「ナヨシ シ」、『玉篇要略集』に「ナヨシ リウ」、『元和三年板下学集』に「ナヨシ 或ハ名吉ト作ル」(名吉にはナヨシとフリガナされている)、『増刊下学集』・『天正十七年本節用集』に「ナヨシ」、『弘治二年本倭玉篇』に「リウ ウナキ ナヨシ」とある。
- 【鰰】 海魚の一種「ハタハタ」の意の国字。苗字に鰰沢(いなさわ いなざわ)がある。『大字典』に「國字 ハタハタ(名) [鮎−占+雷] 、雷魚、イナ。」とある。『国字の字典』は『大字典』を引き「燭魚(はたはた)」の意の国字とするが、字形と引用を誤り、「[鮎−占+神] ハタハタ(名)、雷魚、イナ。」とする。
- 【鮎−占+恵】 『新撰字鏡小学篇』に「左波」、『名義抄(観智院本)』に「アハヒ アヲサハ」、『世尊寺本字鏡』に「アヲサハ 左波」、[鮎−占+恵(旧字体)]の字形で、『同文通考』に「アヲサバ 魚ノ名倭名鈔所謂鯖也」、『和字正俗通』に「アヲサハ」、『大漢和辭典』に「國字 さば。あをさば。[鯖(旧字体)]。」、『広漢和辞典』に「国字 さば。あおさば。海魚の一。[鯖(旧字体)]。」とある。
- 【鱈】 『運歩色葉集』・『増刊下学集』・『早大本節用集』・『易林本小山版節用集』に「タラ」『明応本節用集』に「タラ 北國有之」、『新刊節用集大全』に「たら」とある。中国・台湾の漢字規格にもあるが、日本の国字を輸入したものである。中国には簡体字さえある。[鮎−占+(膤−月)]の字形で、『和爾雅』に「倭俗ノ制字 タウゲ 嶺ノ字ヲ用宜」、『書言字考節用集』に「タラ 和俗所用」、『異體字辨』・『和字正俗通』に「タラ」、『同文通考』に「タラ [口**大]魚也 按ニ朝鮮俗ニ大口魚ト名」とある。
- 【鱇】 『運歩色葉集』・『温故知新書』・『増刊下学集』・『合類節用集』などに「鮟鱇 アンカウ」とある。「鮟鱇(あんこう)」は海魚の一種。中国でもこの字を輸入して用いる。『天正十七年本節用集』・『大谷大学本節用集』・『弘治二年本節用集』・『永禄二年本節用集』・などに「アンカウ 有足魚也」とある。頭部の提灯状のものを足に見立てたものか。
- 【鮎−占+異】 『元和三年板下学集』などに「ハエ」、『同文通考』に「ハエ [鮎−占+若 並同]」、『和字正俗通』・『國字考』に「ハヱ」とある。[鮎−占+輩]・[鮎−占+(輩−非+北)]・[鮎−占+(輩−非+比)]・[鮎−占+若]参照。
- 【鮎−占+常】 『和字正俗通』に「[鮎−占+敷][鮎−占+常] イルカ」とあり、『国字の字典』が「海豚(いるか)」の意の国字とする。『広漢和辞典』に「国字 いるか。海獣の一。海豚。」、『大漢語林』に「国字 いるか。海豚。」とあるが、典拠はつけられていない。
- 【鮎−占+鹿】 『国字の字典』が『新撰字鏡』を引き、「鰮(いわし)」の意の国字とする。『字鏡鈔』・『字鏡抄』・『字鏡集寛元本』に「イルカ イハシ」、『拾篇目集』に「イルカ イワシ」、『米沢文庫本倭玉篇』に「ロク イルカ」とある。いずれも字形はやや崩れた形となっているが、同字に間違いない。『龍龕手鑑』に「力木切 魚名」とある。『米沢文庫本倭玉篇』の音が『龍龕手鑑』の反切に一致しており、影響が考えられる。国字ではない。
- 【鮎−占+細】 『和字正俗通』に「キス」とある。
- 【鮎−占+都】 『新撰字鏡』に「奈万豆」、『名義抄(観智院本)』・『世尊寺本字鏡』・『字鏡鈔』・『字鏡抄』・『字鏡集寛元本』・『篇目次第』・『拾篇目集』に「ナマツ」、『字鏡集白河本』に「ト ナマツ」とある。
- 【鮎−占+乾】 『書言字考節用集』に「[鮎−占+昌] マナカツホ 和俗所用或[鮎−占+將]。或[鮎−占+乾]。並未詳」とある。『サカナの雑学』に「マナガツオ」とあるのは、『毛吹草』から「武蔵 ハタシロ筋鰹(中略)備前 [鮎−占+乾] マナカツヲ 紀伊 [鮎−占+乾] 筋鰹 肥前 [鮎−占+乾]」と引用する『古事類苑』(動物部十七 魚中)が典拠のようだ。
- 【鮎−占+(輩−非+比)】 『新撰字鏡小学篇』・『世尊寺本字鏡』に「ハエ 波无」とある。[鮎−占+輩]・[鮎−占+(輩−非+北)]・[鮎−占+異]・[鮎−占+若]参照。
- 【鮎−占+冨】 『増刊下学集』に「フク」とある。
- 【鰹】 『異體字辨』に「カツヲ」とあり、『国字の字典』が「堅魚(かつお)」の意の国字とする。『龍龕手鑑』に「古田切大[鮎−占+同]也」とある。国字ではない。『新撰字鏡天治本』に「古年反平大[鮎−占+同]則反伊加魚名」、『名義抄(観智院本)』に「音堅 カツヲ」、『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』・『法華三大部難字記』・『倭字攷』に「カツヲ」、『篇目次第』に「古田切 ケン反 カツヲ ヲホカツヲ」、『元和三年板下学集』に「カツウヲ」とある。
- 【鱚】 『倭字攷』に「キス」とあり、『国字の字典』が国字とする。『大漢和辭典』に「国字 きす。海魚の一。鼠頭魚。鶏魚。」、『広漢和辞典』に「国字 きす。海魚の一。南日本沿岸の砂底に産する。鶏魚。」とあるが、いずれも典拠はない。『字彙補』が『唐韻』を典拠に「與熹同」とする。国字ではない。中国でも日本での魚名「きす」の意を逆輸入して使っており、『漢語大詞典』など辞書によっては漢字本来の意味が載っていないこともある。
- 【鮎−占+(輩−非+北)】 『伊呂波字類抄(大東急記念文庫本)』(一巻)に「俗用也 未詳 ハエ」、『米沢文庫本倭玉篇』に「ハヱ」、『異體字辨』に「ハヘ」、『同文通考』に「ハユ 魚名」、『國字考』に「ハエ」とある。「鮠」に同じ。[鮎−占+輩]・[鮎−占+(輩−非+比)]・[鮎−占+異]・[鮎−占+若]参照。
- 【鮎−占+富】 『国字の字典』が『サカナの雑学』を引き「河豚(ふぐ)」の意の国字とする。『字鏡集白河本』に「[鮎−占+冨] フク 或云鰒」、『増刊下学集』に「[鮎−占+冨] フク」とある。
- 【鮎−占+暑】 『永禄二年本節用集』・『堯空本節用集』・『天正十七年本節用集』・『易林本小山板節用集』・『和字正俗通』に「シイラ」、『合類節用集』に「シイラ 字未詳」、『書言字考節用集』に「シイラ 未詳」、『増刊下学集』には「シヒラ 倭字歟」、『同文通考』に「シイラ魚名」とある。『弘治二年本節用集』に「シイテ」とあるのは「シイラ」の誤りであろう。『国字の字典』は『和字正俗通』を典拠に「勒魚(しいら)」の意の国字とする。
- 【鮎−占+署】 『古事類苑』(動物部)が、『書言字考節用集』から「九万匹 クマビキ 又云津字(ツノシ) [鮎−占+署] シイラ 未詳」、『物類稱呼』から「鮎−占+署 志いら(下略)」、『和漢三才圖會』から「[鮎−占+署] しひら くまひき」と引用する。『書言字考節用集』の字形は、[鮎−占+暑]が正しく、『古事類苑』(動物部)の引用は、正確でない。『国字の字典』は、『新字源(旧版)』(国字国訓一覧)を典拠に「勒魚(しいら)」の意の国字とする。『サカナの雑学』に「シイラ」とある。[鮎−占+暑]に同じ。
- 【鮎−占+雷】 『サカナの雑学』に「カムルチイ。ハタハタ」とある。「カムルチイ」は雷魚のこと。「ハタハタ」の意の文字とは同形別字か。国字か否か難しいところである。
- 【鮎−占+愛】 『拾篇目集』に「イシフシ」、『書言字考節用集』・『和字正俗通』に「ムツ」、『同文通考』に「[鮎−占+愛][鮎−占+郷] アイキョウ 魚ノ名」とある。やや崩れた字形で、『新刊節用集大全』に「あいきゃう」とある。(解説途中)
- 【鮎−占+敷】 ややくずれた字形で、『名義抄(観智院本)』に「[鮎−占+敷][鮎−占+常] 敷常二音 [鮎−占+{浮−(海−毎)}][鮎−占+布] 一名々也」、『字鏡鈔』・『篇目次第』に「イルカ」とある。『和字正俗通』に「[鮎−占+敷][鮎−占+常] イルカ」とあり、『国字の字典』が「海豚(いるか)」の意の国字とする。
- 【鮎−占+輩】 『和字正俗通』に「ハヱ」とある。[鮎−占+(輩−非+北)]・[鮎−占+(輩−非+比)]・[鮎−占+異]・[鮎−占+若]参照。
- 【鮎−占+(頁+頁)】 『字鏡鈔』に「ナヨシ」、『法華三大部難字記』に「コノシロ」とある。
- 【鮎−占+(真+頁)】 『名義抄(観智院本)』に「ナヨシ」とある。
- 【鮎−占+願】 『世尊寺本字鏡』に「ツクラ」、『字鏡集寛元本』・『拾篇目集』に「ナヨシ」とある。『日本魚名集覧』が『水産名彙』『水産俗字解』を引いて「ナヨシ」、『水産名彙』を引いて「クチメ」とする。とする。『国字の字典』は『サカナの雑学』を引き「鯔(ぼら)」の意の国字とする。『字鏡鈔』に「イヨシ」とあるのは、「ナヨシ」の誤りか。
- 【鳰】 苗字に鳰崎(におざき)・鳰生(におう)・鳰川(におかわ にえかわ)がある。「鳰の海・鳰の湖(におのうみ)」は、琵琶湖の別称。『新撰字鏡享和本』に「尓保」、『名義抄(観智院本)』・『字鏡鈔』・『字鏡抄』・『字鏡集白河本』・『増刊下学集』・『和字正俗通』に「ニホ」、『新刊節用集大全』に「にほ」、『世尊寺本字鏡』・『字鏡集寛元本』に「ミホ ニホ」、『篇目次第』に「ニホ 无」、『書言字考節用集』に「ニホ 所出未詳」、『運歩色葉集』・『元和三年板下学集』に「ニヲ」、『弘治二年本節用集』に「ニヲトリ 浮巣ニ子生ス [門#下]水鳥 同」『永禄二年本節用集』に「ニホ(下略) [門#下]水鳥 ニホトリ」、『堯空本節用集』に「ニホトリ 又[門#下]水鳥」、『合類節用集』に「[門#下]水鳥 ヘイスイテウ 鳰 ニヲヽ云」とある。
- 【鳥+入】 苗字に[鳥+入](にお)・[鳥+入]川(におかわ にえかわ)がある。『合類節用集』(巻三名字部)に「[鳥+入] ニヲ」とある。
- 【鴫】 『名義抄(観智院本)』に「シキ ツクミ」、『世尊寺本字鏡』・『字鏡集寛元本』に「シキ キシ」、『字鏡鈔』・『字鏡抄』・『有坂本和名集』・『異體字辨』に「シキ」、『字鏡集白河本』に「テン シキ」、『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』に「シギ」、『篇目次第』に「シギ 无」、『拾篇目集』に「ツミ シキ」、『米沢文庫本倭玉篇』に「シキ ハチカキトリ」、『大谷大学本節用集』に「田鳥 シギ 鴫 同」、『合類節用集』に「田鳥 シギ デン 俗ニ鴫ニ作」、『同文通考』に「シギ 漢語抄田鳥ニ作」、『俗書正譌』に「しぎ 和製也」また「鴫居 しきい(注文略)」、『國字考』に「シキ 田鳥乃二字(中略)合わせて一字としたるなり(下略)」とある。『皇朝造字攷』は『倭名類聚抄』を引き、「しき」に「田鳥」の表記があることを示すが、「鴫」の字自体の典拠・解説はない。
- 【田*鳥】 『世尊寺本字鏡』に「ウスメトリ」とある。溝五位(みぞごい)の古名。「オスメトリ」に同じで、『名義抄(観智院本)』などに「護田鳥 オスメトリ」とあることから、「田」と「鳥」を合字してつくられた国字か。『図説日本鳥名由来辞典』に「“おずめどり”の名は奈良時代から知られていた。江戸時代になってその本体が問題になり、ミゾゴイとも考えられ、またバンとも考えられた」とある。『角川古語大辭典』にも詳しい。『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』には「ヲスメトリ」とある。
- 【(会−云+干)+鳥】 『動植物名よみかた辞典』に「シメ。アトリ科の鳥。」とある。[今+鳥]が、[(今−ラ+テ)+鳥]の字形を経て変化した異体字であろう。鳥の事典・図鑑(写真によるものも含む)などで見ることがあるが、漢和辞典などにはない。
- 【鵈】 笹原宏之著『「
JIS X 0208」における音義未詳字に対する原典による同定』に、JISの典拠として『国土行政区画総覧』から「福島県相馬市石上字鵈沢」が引かれている。同書に「後に訂正され[舶−白+鳥]と変わっており、誤記であったと見られる。役所担当課でも[舶−白+鳥]が正しいという。」とある。『拾篇目集』に[胴−同+鳥]で「ミサコ」と読んでおり、地名との関係も考えられる(この用例は「舟月」であろうか)。『新撰字鏡小学篇』に「止比」、『世尊寺本字鏡』に「ショ音 ヒハトリ ヒエトリ 止比」、『字鏡鈔』・『字鏡抄』・『字鏡集白河本』に「ヒエトリ ニハトリ」、『字鏡集寛元本』に「シヨ ヒエトリ ツクミ ニハトリ 止比」、『篇目次第』に「ヒエトリ 无」とある。『世尊寺本字鏡』・『字鏡集寛元本』に音注があるが、『中華字海』などになく、国字であろう。『大漢語林』・『漢語林』・『旺文社漢字典』は、「鳶省+職省」であるとして、「鳶職」の意の国字とするが、うえにあげた古字書の注文からすると、鳥の名「鳶」と考えるのが普通ではないだろうか。
- 【鵆】 『歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典』に「其鵆夜半の髪梳(そのちどりよわのかみすき)安永3年1月初演」とある。『同文通考』にやや崩れた字形で「チトリ [行+鳥] 同上 並信鳥也」、『正楷録』(倭楷)に「地多里 [行+鳥] 同上」とある。『倭字攷』は『月清集』から「チドリ」と引く。[行+鳥]の国訓「チトリ」が『名義抄(観智院本)』・『世尊寺本字鏡』・『温故知新書』などに見られるが、この字の動用字とすべきもので国字とするのは適切でない。大空社『節用集大系』により、江戸前期・中期の節用集を調査した結果、江戸前期には草書体にのみ見られるこの動用字は、江戸中期には行書や楷書でも用いられるようになった。元禄
10年(1697)刊『頭書増字節用集大成』には草書体で「鵆 ちどり カウ」とあるが、楷書体は[行+鳥]のままである。明和7年(1770)刊『早引節用集』に楷書に近い行書で「鵆 ちどり カウ」とある。安永5年(1776)刊『早引節用集』では楷書も「鵆」の字形となっている。その後嘉永3年(1850)刊『永代節用集』で例外的に[行+鳥]が用いられているものの、「鵆」の字形が定着したと言っていいだろう。
- 【年+鳥】 『新撰字鏡小学篇』に「豆支一云太宇」、『世尊寺本字鏡』に「ツキケ」、『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』に「タウ」また「[年+鳥]毛 ツキケ」、『黒川本色葉字類抄』に「タオ又ツキ」また「[年+鳥]毛 ツキケ」、『運歩色葉集』に「ツキ」、『米沢文庫本倭玉篇』に「タウ トキ」、『天正十七年本節用集』に「タウ」、『大谷大学本節用集』に「宿[年+鳥]毛 サビツキケ 馬毛」、『同文通考』に「トキ ツキ 朱鷺也」とある。『黒川本色葉字類抄』には「俗用之未詳」とあるのみで「ツキ」とはないが、「桃花鳥」の後であり、書写者が「同」を漏らしたものと考えられる。
- 【鵤】 福建語にあり、『台語字典』が「音kak」とする。また『中華字海』が『篇海』を典拠に「音贊義未詳」とする。これらの影響は受けていないかもしれないが、『倭名類聚抄(元和古活字那波道圓本)』が漢籍『食經』を引き「崔禹錫食經云鵤 胡岳反 和名伊加流加」とすることは無視できない。また『皇朝造字攷』には『本草和名』も『食経』を引くとあり、「非皇朝造字也」と結論づけている。各字書に「イカルカ」または「イカルガ」の訓が多いが、『名義抄(観智院本)』に「胡岳反 ウ ツフリ イカルガ」、『運歩色葉集』に「タカヘ」、『早大本節用集』に「イカルガ 豆甘鳥也」、『黒川本色葉字類抄』に「カク イカルカ」、『篇目次第』に「カク反 イカルカ 无」とある。
- 【束+鳥】 苗字に[束+鳥](うかい)・[束+鳥]浦(うのうら)・[束+鳥]飼(うかい うずらかい)・[束+鳥]川(うかわ)・[束+鳥]田(うずらだ)がある(『日本苗字大辞典』)。『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』・『天正十七年本節用集』に「ツクミ」、『元和三年板下学集』に「ツグミ」とある。『国字の字典』が『國字考』典拠に「鶫(つぐみ)」の意の国字とするが、『國字考』の字形は、[朿+鳥]である。『中華字海』に「一種鳥見《廣韻》。同[式+鳥]見《説文新附考》」とあり、[朿+鳥]は、「[束+鳥]的訛字見《字彙補》」とある。いずれにしても国字ではない。
- 【判(旧字体)*鳥】 『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』・『同文通考』に「カシトリ 鳥ノ名」、『易林本小山板節用集』に「カシドリ」とある。
- 【長+鳥】 『新撰字鏡』に「佐支又豆留」、『世尊寺本字鏡』に「サキ ツル」とある。「鷺また鶴」の意の国字か。
- 【易+鳥】 『永禄二年本節用集』・『堯空本節用集』・『両足院本節用集』に「鵙 イスカ [易+鳥]同」、『和字正俗通』に「イスカ」とある。
- 【宗+鳥】 『同文通考』に「キクイタヾキ 小鳥ノ名」、『和字正俗通』に「キクイタヽキ」とある。『異體字辨』に「キクタヽキ」とあるのは、「イ」がもれたものであろう。
- 【鶫】 各種漢和辞典に「つぐみ」の意の国字とある。『明応五年版節用集』に「[軌−九+鳥] ツクミ [勍−力+鳥]」、『元和三年板下学集』に「[勅−力+鳥] ツグミ」、『天正十七年本節用集』に「[軌−九+鳥] ツクミ [勍−力+鳥] 同 [勅−力+鳥] 同」、『拾篇目集』に「鶇 ツクミ」、『易林本小山板節用集』に「鶇 ツグミ」、『合類節用集』に「桃花鳥 タウクハテウ 鶇 ツクミヲ云」、『新刊節用集大全』に「つぐミ」とある。大空社の『節用集大系』のうち約40種を調査した結果においても以上の字形が見られるのみで、「鶫」の字形はない。江戸末期もしくは明治初期に「鶇」が「鶫」の俗字と考えられてできた字形か。
- 【頁+鳥】 『和字正俗通』に「イスカ」とある。
- 【神*鳥】 『名義抄(観智院本)』・『世尊寺本字鏡』・『字鏡鈔』・『字鏡抄』・『字鏡集寛元本』に「カウナイシトヽ」、『字鏡集白河本』に「シン カウナイ シトヽ」とある。
- 【鹿+鳥】 『和字正俗通』に「コカラ」とある。
- 【番+鳥】 『異體字辨』に「[(番−ノ)+鳥]バン」とあり、『国字の字典』が「[番+鳥]バン 鶴目(つるもく)水鶏科(くいなか)の鳥」の意の国字とする。『和字正俗通』(借字一)に「[番+鳥]バン」『法華三大部難字記』に「[(番−ノ)+鳥]モス」とある。『異體字辨』・『法華三大部難字記』の字形と『国字の字典』・『和字正俗通』の字形は、前者が書写体、後者が字典体によった忠実な楷書体の違いであって、別字ではない。『国字の字典』が、「『康煕字典』に同字がある」としながら、国訓である旨の注記をしないのは疑問である。
- 【斑*鳥】 『和字正俗通』に「ヤマカラ」とある。『広漢和辞典』に「国字 やまがら。鳥の名」、『大漢語林』に「国字。やまがら。シジュウカラ科の小鳥。」とあるが、典拠がない。
- 【麿】 『同文通考』に「マロ 麻呂二合ノ字(下略)」、『正楷録』(倭楷)に「漫路」、『文教温故』に「マロ 見多度寺資材帳貞觀十三年小水麿(下略)」、『國字考』に「マロ」とある。
- 【(雲△雲△雲)*(龍△龍△龍)】 「たいと」と読む苗字で、生命保険会社の人名資料もしくは東京都の電話帳からといわれるが、詳細は確認できない。『国字の字典』が『姓氏の語源』を典拠に、「たいと」と読む国字とし、漢字「[雲△雲△雲](たい)」と「[(龍△龍△龍)](とう)」の合字とする。『難読姓氏辞典』に[雲*(雲+龍+雲)*(龍+龍)]の字形で、「だいと・おとど」とある(『難読姓氏辞典』が掲げる字形は、表現しにくいので、正確には、同書を見ていただきたい)。人名研究家の丹羽基二氏も存在が確認できないという幻の苗字で、実在が疑問のためか、同氏の『日本苗字大辞典』にも、この苗字が載せられていない。
和製漢字の小辞典へ戻る