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『和製漢字の小辞典』7画〜10画

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  1. 【訳】 『中華字海』に「同譯。見日本《常用漢字表》」とある。和製異体字か。『玉篇要略集』に「コトハ フ」、『音訓篇立』に「ワカル」とある。
  2. 【読】 『中華字海』に「同讀。見日本《常用漢字表》」とある。和製異体字か。
  3. 【諚】 『運歩色葉集』に「御諚 ヂヤウ」(自明のこととしてか「御」には読みがつけられていない)、『異體字辨』に「ヂヤウ 御―」・『同文通考』に「ヂヤウ 猶ヲ命ノ猶シ也」、『漢字の研究』(我國にて制作したる漢字)に「ヂャウ」とあり、「主君の命令の意」で国字とされることがある。『五音篇海(大阪府立中之島図書館本)』・『字彙補』に「[畔−半+比]濳切義闕」とあり、『中華字海』に「[話−舌+空]的訛字。字見『字彙補』」とある。国訓と考えられる。『新字源(改訂版)』に「国訓 ジョウ」とある。
  4. 【貮】 『中華字海』に「音義待考。字出《ISO-IEC DIS 10646通用編碼字符集》」とある。日本以外に台湾の規格にもある。「貳」の異体字か。『中文大辭典』にはない。
  5. 【販−反+長】 『国字の字典』が『大字典』を典拠に「勘定」の意の国字とする。『中華大字典』に「帳俗字」、『中華字海』に「同帳」とある。国字ではない。
  6. 【赱】 『名義抄(観智院本)』などの古字書にごく一般的に見られる「走」の異体字。『中華字海』が『宋元以来俗字譜』を典拠に「同走」とする。中国でもより古い典拠は発見できるものと考えられる。国字ではない。
  7. 【射−寸+分】 『異體字辨』・『和字正俗通』・『國字考』攷』に「セカレ」、『同文通考』に「セガレ」とある。『倭字攷』は、『和爾雅』・『続和漢名數』を典拠に「セカレ 我子ヲ今俗セカレト云、我子是我身之所分也(下略)」とする。『和爾雅』には、「倭俗ノ制字」として「セガレ 賤息ノ字ヲ用可シ」とある。
  8. 【射−寸+応】 「軈」の異体字。「明治期の小説家の手稿に「[射−寸+応]て」と見え、文脈からして、「軈(やがて)」の意に使われているのは間違いない」と、笹原宏之氏からご教示を受けた。『明朝体活字字形一覧』の「築地五号1894年・1913年」にもこの文字がある。広い意味で国字だが、使用位相が狭く、ほとんど手書きのみで、活字化されることが希であった文字であろう。
  9. 【射−寸+忍】 『運歩色葉集』・『増刊下学集』・『天正十七年本節用集』・『早大本節用集』に「子ラウ」、『明応五年版節用集』・『同文通考』・『和字正俗通』・『國字考』に「子ラフ」とある。
  10. 【射−寸+花】 『国字の字典』が『異體字辨』を典拠に「仕付(しつけ)」の意の国字とするが、『異體字辨』の和俗字には「躾」があるのみである。『和漢三才圖會』・『和字正俗通』・『倭字攷』などに「シツケ」とある。「躾」・[射−寸+益]参照。
  11. 【射−寸+空】 『同文通考』に「ウツケ 空虚也又人ヲ罵ルノ詞(下略)」、『和字正俗通』・『國字考』に「ウツケ」、『文字ノいろいろ』に「うつけ。空心。」とある。『倭字攷』は、『和爾雅』・『続和漢名數』を典拠に「ウツケ 按 放心ノ意、空虚也」とする。『和字正俗通』には[射−寸+空]に対応する漢字として[休−木+空]の字がある。
  12. 【躾】 『黒本本節用集』・『弘治二年本節用集』・『永禄二年本節用集』・『堯空本節用集』・『異體字辨』・『和字正俗通』に「シツケ」、『同文通考』に「シツケ 禮ヲ習也」、『國字考』に「古本節用集に見え(中略)礼儀を習う事ハ身を美する乃意(中略)いと近き代乃文字なるへし」とある。『倭字攷』には『和爾雅』・『俗和漢名數』・『燕石雜志』を典拠に「シツケ 按、威儀アルハ一身ノ美ナレハナリ、或ハ[射−寸+花]トカク、華 花同美ナルモ同意ナリ、或ハ[射−寸+益]トカク、威儀ノ則アルハ一身ノ益ナレハナラン」とある。『弘治二年本節用集』・『堯空本節用集』・『大谷大学本節用集』・『早大本節用集』などに「習氣 シツケ」とあるのは、「ならわし。習慣」の意で、「躾」とは意味が異なる。。[射−寸+花]・[射−寸+益]参照。
  13. 【軅】 笹原宏之著『「JIS X 0208」における音義未詳字に対する原典による同定』に、JISの典拠として『国土行政区画総覧』から「福島県白河市(大字なし)通称白坂字軅飛(たかとぶ)」が引かれている。同書に「この地名は「国土調査により字名変更」があり、「鷹飛(たかとび)」になっている。従来漢和辞典やワープロ漢字辞典のほとんどすべてが「軈(やがて)」の異体字としていた。しかし「軅」は「鷹」の動用字ないし篆書体に基づく字体[鳥+(應−/心)]がさらに崩れたものであった」とある。「軈」の異体字とした辞書の編者は何を典拠としたものであろうか。また同氏により、『JIS X 0208:1997附属書7(参考)区点位置詳説』にも『国土行政区画総覧』から同様の解説が付けられた。その後二年あまりを経て出版された『旺文社漢字典』が「やがて 〔軈〕の俗字」と解説するのは、理解に苦しむ。
  14. 【軈】 『字鏡集寛元本』・『音訓篇立』・『米沢文庫本倭玉篇』・『弘治二年本倭玉篇』・『増刊下学集』・『天正十七年本節用集』・『和字正俗通』に「ヤカテ」、『字鏡集白河本』に「ヨフ ヤカラ ヤカテ」、『玉篇略』に「コン ヤカテ」、『弘治二年本節用集』に「ヤカテ 倭字」、『明応五年版節用集』・『異體字辨』に「ヤガテ」、『書言字考節用集』に「ヤガテ 本朝ノ俗字 音義未詳」、『同文通考』に「ヤガテ 猶ヲ少時ノ猶シ也」とある。『字鏡鈔』・『字鏡抄』に「ヤカラ」とあるのは「ヤカテ」の誤りか。『字鏡集白河本』に「ヤカラ ヤカテ」双方があるのは、異なった典拠からの増補によるものか。『堯空本節用集』に「寸歩 ヤガテ [込−入+(山*而)] 同 早 同」とある。「軅」参照。
  15. 【轌】 轌町(そりまち)は秋田県秋田市また秋田県仙北郡仙南村の地名、機織轌の目(はたおりそりのめ)は秋田県能代市の地名。
  16. 【込−入+一】 [迚−中+一]谷(いったに)は、徳島県勝浦郡勝浦町の、[迚−中+一]石(すべりいし)は、岐阜県山県郡美山町の地名。『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』に「ヲシマロハス」、『字鏡鈔』・『字鏡抄』・『字鏡集寛元本』に「カク ヒキタス フシワツラフ マロフ」、『音訓篇立』に「ヤウ音 マロフ カタス ホノメク フシワツラフ」、『米沢文庫本倭玉篇』に「カク ウシフス マロフ フシワツラフ」、『弘治二年本節用集』に「マルフ」、『合類節用集』に「[迚−中+一]ヲシマロハス 字未詳」、『書言字考節用集』に「コロブ」、『和字正俗通』に「スヘル マロフ」とある。『大塔物語』に「タフシ」とフリガナされている。音注があるものが多いが、『中華字海』などにない。国字と考えられるが、佚存文字の可能性もある。
  17. 【込】 『名義抄(観智院本)』・『字鏡鈔』・『字鏡抄』・『字鏡集白河本』・『字鏡集寛元本』に「コモル セム」、『運歩色葉集』に「コムル 込入 コミイル」また「夜込 ヨコミ」、『温故知新書』に「タテコモル」、『音訓篇立』に「コム コモレリ セム コモル」、『米沢文庫本倭玉篇』に「コモリ ヒナサキ ハケキ スマイノコノミチ」、『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』に「端込 ハシハミ」・『易林本小山板節用集』に「端込 ハシバミ」また「込入 コミイル」、『合類節用集』に「コム又[持−寺+入]同並字未詳」、『書言字考節用集』に「コム 本朝ノ俗字 入ノ字ヲ用宜」、『法華三大部難字記』に「ヒナサキ コモリ スイモノ コミチ ハテキ」、『異體字辨』・『同文通考』・『和字正俗通』に「コム」とある。『新撰字鏡天治本』にもあるが、注文がない。「しんにょう」は、三画のことが多いが、『合類節用集』・『書言字考節用集』・『異體字辨』・『和字正俗通』は四画である。『中華字海』にあるが典拠がなく、新しい文字と考えられ、国字であることは間違いないであろう。
  18. 【辻】 『名義抄(観智院本)』・『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』に「ツムシ」、『黒川本色葉字類抄』に「十字 ツムシ東西南北相分之道其中央似十字也 辻 同ツムシ俗用之未詳」、『字鏡集白河本』・『字鏡集寛元本』に「シフ ツシ」、『明応五年版節用集』・『易林本小山板節用集』・『和字正俗通』に「ツジ」、『増刊下学集』・『拾篇目集』に「ツシ」、『撮壌集』に「辻子 ツシ」、『運歩色葉集』に「ツシ」・「辻子 ツジ」また「辻固 ツジガタメ」、『大谷大学本節用集』に「ツジ 路」また「辻固 ツジガタメ」、『合類節用集』に「辻子 ヅシ」、『音訓篇立』に「シウ音 ツシ ツムシ」、『玉篇要略集』に「ツシ シウ」、『新刊節用集大全』に「つぢ」、『異體字辨』に「ツヂ」、『同文通考』に「ツジ 街ナリ」とある。『合類節用集』・『異體字辨』・『同文通考』・『和字正俗通』は4画の「しんにょう」である。『拾篇目集』には、「辻」のほか「しんにょう」に「一」から「九」までの数字を組み合わせた文字が載っているが、「九」以外は『中華字海』などにない。
  19. 【込−入+上】 『名義抄(観智院本)』に「ヲレハキアケ」、『字鏡鈔』・『字鏡抄』に「ヲシ ハキアケ ソテマクリ」、『字鏡集白河本』に「シ ヲレ ハキアケ ソテマクリ」、『音訓篇立』に「ハキアケ ヲレ」、『篇目次第』に「ハキアケ ソテマクリ 无」、『玉篇略』に「ウテマクリ」、『新刊節用集大全』に「たまだすき」、『和字正俗通』(妄制)に「タマタスキ」とある。『和字正俗通』は4画のしんにょうである。『字鏡集寛元本』は「上」が「止」になっているが、この字は中国にもある。字喃及び古壮字に「上」の意であるが国字であることには間違いないだろう。
  20. 【込−入+下】 『名義抄(観智院本)』に「タヒク マシ コシカラミ」、『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』・『黒川本色葉字類抄』・『法華三大部難字記』に「コシカラム」、『字鏡鈔』・『字鏡抄』・『字鏡集白河本』に「タクヒ コシカラミ マシ」、『玉篇略』に「ヒツ タクイ タカイニ シタカウ タカシ ノカル」、『拾篇目集』に「ヒン反 タクヒ」、『音訓篇立』に「ヒン音 タクヒ マヒ コシカラム」、『篇目次第』に「アシカラミ」とある。『中華字海』に「音匹。義未詳」とある。『漢語大字典』は『字彙補』などから「音匹」と引くが[迚−中+下]に作る。『楷法辨體』に「匹」の異体字のひとつとしてある。「匹」の異体字としてできたものが、中国では義を失い、日本では[込−入+上]の影響を受けて訓義を増やしたものか。字喃及び古壮字に「下」の意であるが関係はないものと考えられる。
  21. 【迚】 苗字に迚野(とての)がある。『異體字辨』に「トテモ」とあり、『国字の字典』が国字とする。『中華字海』が『篇海』を典拠に「音打義未詳」とする。『漢韓最新理想玉篇』は日本字とするが、国字とはいえない。『運歩色葉集』に「トテモ」また「サテモ」、『天正十七年本節用集』・『弘治二年本節用集』・『永禄二年本節用集』・『堯空本節用集』・『両足院本節用集』・『同文通考』・『和字正俗通』に「トテモ」、『新刊節用集大全』に「とても」とある。『運歩色葉集』・『天正十七年本節用集』・『弘治二年本節用集』・『永禄二年本節用集』・『堯空本節用集』・『新刊節用集大全』は、3画のしんにょうであり、『両足院本節用集』は、より崩れた字形である。
  22. 【逧】 岡山県英田郡作東町大字梶原に字逧(さこ)がある。(解説途中)
  23. 【遖】 『字鏡鈔』・『字鏡抄』・『字鏡集白河本』・『字鏡集寛元本』に「イカツラケフ アハレフ」、『玉篇略』に「ナン オヨフ イタル」、『米沢文庫本倭玉篇』に「キ アハレム カナシム」、『異體字辨』・『國字考』に「アツハレ」、『同文通考』に「アツハレ 語ノ詞讀テ天晴(アツハレ)ニ作」とある。「しんにょう」は三画のことが多いが、『異體字辨』・『同文通考』は、四画である。。
  24. 【良+邑】 『最新JIS漢字字典』が、国字とする。国字ではなく、「郎」の異体字のひとつであると考えられるが、『中華字海』には、「音義待考。字出《ISO-IEC DIS 10646通用編碼字符集》」とある。
  25. 【配−己+元】 『漢字の研究』に「サケノモト」とある。「酒母(さけのもと)」のこと。「日本の職人ことば事典」に「酒母づくりの担当責任者のことを上[配−己+元]廻り(うわまとまわり)という」とある。[配−己+元]には「生[配−己+元](きもと)」や工程を一部簡略化した「山廃[配−己+元](さんぱいもと)」などが有名であるが、「速醸[配−己+元](そくじょうもと)」がもっとも一般的で90パーセント以上を占める。
  26. 【鈬】 『中華字海』に「音義待考。字出《ISO-IEC DIS 10646通用編碼字符集》」とある。国字ではなく、「鐸」の異体字にすぎないと考えられるが、他国の規格にはない。
  27. 【鈩】 「鑪」の異体字にすぎないと考えられるが、『中華字海』は「日本地名用字」とする。『難読難解日本語実用辞典』に「たたら 東京都足立区にある苗字。」とある。
  28. 【銅−同+色】 『国字の字典』が、秋田県仙北郡南外村鉋殻谷地(かんながらやち)の町村合併前の地名表記「[銅−同+色]殻谷地」を引き、「鉋(かんな)」の意の国字とする。『中文大辭典』・『漢語大字典』・『中華字海』は、いずれも化学元素セシウムの意の文字としか載せないので、『大漢語林』でも「国字 かんな(下略)」とする。日中ともに[鉋−金]が、「色」・[色−巴+巳]などの字形になることは多く、『中華字海』に「[銅−同+(色−巴+巳)]同鉋。字見《川篇》」また「[炮−(包−己+巳)+色]炮的訛字。字見《龍龕》」とある。『運歩色葉集』に「カンナ」、『明応五年版節用集』に「曲[銅−同+色]クリカナ」、『音訓篇立』に「歩交反 ケツル トル」、『米沢文庫本倭玉篇』に「シ カンナ」、『法華三大部難字記』に「カナ オサム」、とあるが、字形は崩れているものが多く、特に「巴」の第3画を欠くものが多い。『早大本和字正俗通』も「鉋」の誤態とする。『新刊節用集大全』には、[銅−同+色]の字形で「かんな」とあるが、行書体は、[銅−同+(色−巴+巳)]となっている。以上のことから、「鉋」の一異体字にすぎず、国訓ですらないと考えられる。化学元素の名「セシウム」の意として使われるようになったのは、「かんな」の意より新しいと考えられ、『新大字典』が「ショク 字義 化学元素の名。セシウム。 和義 かんな(名)。(中略)鉋(かんな)近世では多く「[銅−同+色]」が使われた」と解説するのは、本末転倒の部分もあり、「国字 かんな」とするよりもよりおかしい表現である。『同文通考』は「タ」と読み、「俗ノ鉈ノ字」とする。『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』に「ホコ シ」とあり、この場合も漢字そのものの用法かも知れない。
  29. 【銅−同+糸】 『字鏡集寛元本』にあるが注文がない。『大字典』に「國字 カスガヒ」、『文字ノいろいろ』(國字)に「かすがい」とあるが典拠はない。[銅−同+系]参照。
  30. 【銅−同+曲】 苗字に[銅−同+曲](いかり)がある。『新撰字鏡小学篇』・『新撰字鏡享和本』に「ナタ」、『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』に「ナヘ」、『字鏡鈔』に「燭 他曲反 アナ」、『字鏡集白河本』に「キヨク 他曲反 アフ」、『字鏡集寛元本』に「他曲反 カナ」、『音訓篇立』に「他曲反 ヒラナヘ カマ カナヘ」、『篇目次第』に「他曲切 カマ」、『米沢文庫本倭玉篇』に「カンナ」、『文教温故』・『倭字攷』に「クマデ」、『和字正俗通』に「イカリ」とある。
  31. 【鋲】 苗字に鋲(びょう)・鋲屋(びょうや)がある。『國字考』に「ベウ」とある。韓国の規格にあり、『漢韓最新理想玉篇』に廣釘、日本的用法として廣頭釘とあることも無視はできないが、基本的には、国字と考えられる。『動植物名よみかた辞典』に「鋲蛸木 ビョウタコノキ パンダヌス・ウーティリスの和名」とある。
  32. 【銅−同+系】 『文教温故』に「かすかひ」、『倭字攷』にもこれを引いて「カスカヒ」とある。『名義抄(観智院本)』・『字鏡鈔』・『字鏡抄』にもあるが注文がない。[銅−同+糸]参照。
  33. 【鍄】 『魁本大字類苑』に「カスガヒ」とあり、同訓のものとして「鎹、貼金」などがあげられている。笹原宏之著『「JIS X 0208」における音義未詳字に対する原典による同定』に、JISの典拠として『国土行政区画総覧』から地名用例が引かれている。山形県山形市旅籠町一丁目及び山形県山形市旅籠町一丁目の旧通称小鍄(こがすがい)で、「[銅−同+糸]の崩し字から生じた字形」とある。同著「JIS漢字と位相」には典拠以外の用例として人名「鍄一(きょういち)・鍄鈴」・古字書の用例「『白河本字鏡集』・『魁本大字類苑』などがあげられている。なお同書で『日本地名大辞典』により「コカスガイ」としていた地名の読みは、役場での調査で訂正されている。漢和辞典などが揚げる中国の字書を典拠とした「音亮」・「打楽器の名」などは同形別字か。『名義抄(観智院本)』に「[鍄−京+亰] 俗亰 京正」、『字鏡鈔』に「[鍄−京+亰] 亰同 京同 ヲホキナリ ウレシ ワタル ミヤコ タカシ」、『字鏡集白河本』に「[鍄−京+亰] 亰同 京同 ウレシ ワタル タカシ ヲホキナリ ミヤコ 正」、『字鏡集寛元本』に「[鍄−京+亰] 庚 亰同 京同 オホキナリ ウレシ タカシ ワタル ミヤコ」、『音訓篇立』に「コヱ」、『法華三大部難字記』に「コエ」とある。
  34. 【錵】 『名義抄(観智院本)』に「ヤサキ」、『音訓篇立』には「カナウス」、『法華三大部難字記』に「クワ カナウ」、『同文通考』に「ニヱ 劔之文也」、『正楷録』(倭楷)に「爾辺」、『國字考』に「ニヱ」とある。中国で化学元素の訳名として使われたことがあるが、日本の方が古く、国字である。
  35. 【錺】 苗字に錺谷(かざりや)がある(丹羽基二編著『姓氏の由来事典(県別姓氏北海道)』)。『歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典』に「大錺万年暦(おおかざり まんねんれき)正徳3年1月初演」とある。
  36. 【銅−同+斧】 苗字に[銅−同+斧]田(おのだ)がある。『国字の字典』が『皇朝造字攷』を典拠に「斧(おの)」の意の国字とする。『中華字海』が『土地宝巻』を典拠に「同斧」とする。漢字そのものである。『名義抄(観智院本)』・『字鏡鈔』・『字鏡抄』・『拾篇目集』に「ヲノ」、『字鏡集白河本』に「フ ヲノ」、『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』に「斧 ヨキ [銅−同+斧] 同」、『音訓篇立』に「タツキ」、『和字正俗通』(誤態)に「ヲノ 斧」とある。
  37. 【錻】 錻(ブリキ)、錻力(ブリキ)と使われる国字。特殊な読みとして、苗字に錻山(てつやま)がある。
  38. 【鎹】 『倭名類聚抄(元和古活字那波道圓本)』に「功程式云舉鎹 阿介賀須加比今案鎹字本文未詳」、『名古屋市立博物館本和名抄』・『音訓篇立』に「アケカスカヒ」、『名義抄(観智院本)』に「未詳 カ爪カヒ アケカ爪カヒ」、『字鏡鈔』・『字鏡抄』・『字鏡集寛元本』に「未詳 アケカスカヒ カスカヒ」、『温故知新書』・『玉篇略』に「カスカイ」、『米沢文庫本倭玉篇』に「ソウ カスカヒ カスカイ」、『書言字考節用集』に『延喜式』・『倭名類聚抄』を典拠に「カスガヒ」、『同文通考』に「カスガイ [蝗−皇+馬]蝗絆也」、『國字考』に「カスカイ 延喜式に見え(下略)」とある。『和字正俗通』にもあるが、注文がない。『中華字海』に「日本地名用字」、『漢韓最新理想玉篇』に「日字接釘」とある。字形は、[銅−同+送]となるものも多い。
  39. 【鏥】 『国字の字典』が「錆(さび)」の意の国字とする。『龍龕手鑑』・『集韻』などに「鐵上衣也」・「同銹」などとある。全く漢字そのものである。『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』に「サビ」とある。
  40. 【鐡】 「鐵」の異体字にすぎないと考えられるが、『中華字海』には「音義待考。字出《ISO-IEC DIS 10646通用編碼字符集》」とある。
  41. 【鑓】 苗字に鑓野目(やりのめ)がある。『米沢文庫本倭玉篇』に「ケン ヤリ」、『玉篇略』・『増刊下学集』・『易林本小山板節用集』・『異體字辨』・『和字正俗通』などに「ヤリ」、『早大本節用集』に「ヤリ 日本始造武具也」、『天正十七年本節用集』に「ヤリ 日本始造也云々」、『同文通考』に「ヤリ 鎗也」、『大系漢字明解』に「ヤリ 日本字ゆゑ音なし(中略)金刃を送遣するの意か」とある。苗字及び『天正十七年本節用集』・『異體字辨』・『大系漢字明解』の「しんにょう」は4画。
  42. 【閊】 『異體字辨』・『同文通考』・『和字正俗通』・『國字考』に「ツカユル」、『正楷録』(倭楷)に「索矢紫革由」、『和漢三才圖會』に「ツカヘル」とある。韓国の漢字規格にもあるが、『漢韓最新理想玉篇』は「日本字、否塞」とする。『和爾雅』は、「中華之字書ニ出不」とする「倭俗ノ制字」ではなく、「和俗訓義ヲ誤所」として「ツカユル」の訓をつけるが、『中華字海』などにもない。現在は、佚書となった当時存在した中国の字書に存在したものであろうか。「倭俗ノ制字」に入れるべきところを誤ったものである可能性の方が大きいように思われる。
  43. 【閖】 地名に宮城県名取市閖上(ゆりあげ)、同県桃生郡桃生町閖前(ゆりまえ)がある。『名義抄(観智院本)』に「俗[泳−永+勞]字力到反」とあり、『字鏡鈔』に[泳−永+勞]ほか五字が異体字としてあげられ、「ウツクシイ アマ水」ほか八個の訓がある。『角川古語大辭典』が『前田本色葉字類抄』から「[門#化]、閖、[門#下] シナタリ」と引く。『黒川本色葉字類抄』にも「[門#化] シナタリ 閖 [門#下] 同」とあるが、門構えは、[同−(一*口)]に近い形に略されている。『龍龕手鑑』に「俗音[泳−永+勞]」とあり、『国字の字典』のいう仙台藩専用の文字でないばかりでなく、国字でもない。地名で「ゆり」と読まれるためか訓に「ゆる・ゆれる」をあげる辞書があるが典拠があるのだろうか。
  44. 【門#中】 『天正十七年本節用集』に「ウツロ」とある。『和字正俗通』に「ウソロ」とあるが、字形から見て、「ウツロ」が正しいと思われる。
  45. 【閠】 『廣韻』が「餘也」とし、『字彙』が「閏」の「誤」、『正字通』が「俗」、『漢語大字典』が「同」とすることから「閏」の異体字と考えられる。『世尊寺本字鏡』に『龍龕手鑑』の影響が考えられる「子ヤ 子トコロ」の訓がある。『頓要集』に「ツヒ」の訓があるが、「玉門」を合字してできた同形別字か。
  46. 【門#豊】 補助漢字にあるが、中国・日本ともに古字書に「五昆反」とあるのみで、意味・用法等は不明である。[門#豈]と誤ったものか。出典例(『字鏡集寛元本』)
  47. 【雫】 『異體字辨』に「シツク」とあり、『国字の字典』が「しずく」と引き国字とする。『龍龕手鑑(宋本)』・『五音篇海(大阪府立図書館本)』に「俗奴寡奴寛二反」とあり、同様の字書の影響を受けたものか、『名義抄(観智院本)』・『字鏡鈔』に「奴寛反」、『合類節用集』に「シヅク タ 海篇音拏上聲」とある。『運歩色葉集』に「アマダリ」、『堯空本節用集』・『天正十七年本節用集』・『和字正俗通』に「シツク」とある。『同文通考』は「シヅク」を国訓とする。中国での意味が失われているので、国訓なのか中国から来た時にこの意味であったのかはわからないが、国字でないのは確かである。古壮字では「下(面)」の意。
  48. 【霜−相+(隹+鳥)】 苗字に[霜−相+(隹+鳥)]見(うつみ つるみ)・[霜−相+(隹+鳥)]岡(つるおか)がある。『有坂本和名集』に「ツル」とある。
  49. 【霜−相+(鉄−失+鳥)】 苗字に[霜−相+(鉄−失+鳥)]田(つるた)・[霜−相+(鉄−失+鳥)]見(つるみ)がある。
  50. 【霜−相+鶴】 苗字に[霜−相+鶴](つる)・[霜−相+鶴]林(つるばやし)・[霜−相+鶴]見(つるみ)・[霜−相+鶴]我(つるが)・[霜−相+鶴]蒔(つるまき)がある。『歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典』に「勇[霜−相+鶴]七(いさましきつるしち)天保7年11月初演」とある。笹原宏之著『JIS漢字と位相』に「国字といわれるが中国にある」とある。ただ一般的な文字ではないらしく、『中華字海』に「音義待考。字出《ISO-IEC DIS 10646通用編碼字符集》」とある。
  51. 【靹】 『大漢和辭典』・『中文大辭典』などで音義未詳とされるが、『篇目次第』などに「同[靹−革+韋]」とある。『漢語大字典』は、『大漢和辭典』が引く『呂氏春秋』のほか、『札[込−入+多]』から「靹,當為[靹−革+韋]」、『農政全書』から「堅者耕之,澤其靹而後之」と引いて、「柔軟的(土壌)」とする。これがJIS漢字の典拠ではないが、「鞆」の異体字とする典拠もそれほど明確なものではない。『JIS X 0208:1997附属書6(規定)漢字の分類及び配列』に「ドウ,ノウ」とあるが、典拠は明示されていない。芝野耕司編著『JIS漢字字典』に「靹谷(トモタニ・姓)」とある。「鞆」参照。
  52. 【鞆】 『名義抄(観智院本)』に「未詳 トモ」、『伊呂波字類抄(早川流石写)』に「トモ 俗用也」、『篇目次第』に「卑兵切 ヘイ反 トモ」、『音訓篇立』に「ヘイ音 トモ サヤ」、『米沢文庫本倭玉篇』に「ヘイ トモヱ ツカ」『玉篇要略集』に「トモヱ ハウ」、『法華三大部難字記』・『和字正俗通』に「トモ」、『國字考』に「トモ 古事記神代紀万葉集延喜式(中略)乃書に見え(下略)」また頭書して「続字彙補鞆未詳見呂氏春秋」とある。『國字考』の頭書の字は、「靹」の誤りである。「靹」参照。
  53. 【革+付】 『現代漢語例解辞典』に「国字か。[革+付]掛(フかけ)は、舞楽の装束の一部で、脛巾(はばき)の一種」とある。
  54. 【鞐】 『和字正俗通』・『國字考』に「コハセ」、『文字ノいろいろ』(國字)に「こはぜ」とある。
  55. 【革+朱】 『名義抄(観智院本)』・『音訓篇立』に「シホテ」、『運歩色葉集』・『天正十七年本節用集』・『明応五年版節用集』に「シヲデ」、『拾篇目集』に「シロシ シホテ」とある。『中華字海』が『金鏡』を典拠に「音朱義未詳」とする。国訓かもしれない。
  56. 【韋+(峠−山)】 『國字考』に「コハセ」とある。
  57. 【颪】 『國字考』に「オロシ アラシ(注文略)」・『漢字の研究』(我國にて制作したる漢字)に「オロシ」とある。
  58. 【飯−反+(日*皿)】 「饂」に同じ。「[飯−反+(日*皿)][飯−反+屯]」の表記で、『増刊下学集』に「ウトン」、『早大本節用集』に「ウドン」『運歩色葉集』に「ウントン」、『新刊節用集大全』に「うんどん」とある。『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』に「[飯−反+昆][飯−反+屯] ウトン」、『明応五年版節用集』に「温[飯−反+屯] ウントン」、『大谷大学本節用集』に「「温[飯−反+屯] ウンドン 或作[飯−反+(日*皿)][飯−反+屯]」とある。
  59. 【饂】 [飯−反+(日*皿)]に同じ。国字とされるが、台湾・韓国の規格にもある。
  60. 【駲】 『名義抄(観智院本)』に「俗州字音周馬白州(下略)」、『合類節用集』に「白州 ハクシウ 馬ノ白尻ナル者ヲ曰」とあるためか、『漢語林』は、「けつじろ 尻の白い馬。」とする。JIS漢字との関係は薄いと考えられ、「音シュウ」とする根拠としても弱い。「馴」の異体字とする説もあるが、典拠を示しているものはない。
  61. 【馴−川+黒】 『漢字百科大事典』「歌舞伎外題」に「諸[帖−占+(世+木)]奥州[馴−川+黒](もろたつなをうしうぐろ)宝暦2年初出」とある。『名義抄(観智院本)』に「俗黒字」、『字鏡鈔』・『字鏡抄』に「コク 黒同 [泳−永+黒]同 奥同 スミヌル クロシ クラシ」とある。歌舞伎外題のために作られた文字ではないことがわかる。
  62. 【髪】 『字學擧偶正譌』などを典拠に『中文大辭典』にあり、和製異体字ではない。
  63. 【利*鬼】 『名義抄(観智院本)』・『字鏡鈔』・『字鏡集白河本』・『字鏡集寛元本』に「カコツ」、『字鏡抄』に「カツコ」とある。『字鏡抄』は「カコツ」の誤りか。いずれも「鬼」の第一画が欠けている。

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